石田 陸斗 | 研究テーマ:血漿の非ニュートン性がせん断流中の赤血球の変形挙動に及ぼす影響 |
研究内容 | |
血液は,血漿に赤血球,白血球,血小板が分散した懸濁液である.血液のレオロジー特性は,血液成分の55%を占める血漿と残りの45%を占める赤血球の影響を大きく受ける.また,赤血球は血漿の流体力や赤血球膜の弾性力に応じて変形する.そのため,血液の粘性は,赤血球の変形挙動により変化する.このような赤血球による血液のレオロジー特性の変化を理解することは,レオロジー制御を可能とする機能性流体の創出に貢献する.先行研究では,2次元せん断流れにおいて赤血球の変形挙動が血液の粘度に与える影響について調査されてきた.2次元せん断流れにおける赤血球の変形挙動に及ぼす因子の1つとして内外粘度比が挙げられる.内外粘度比とは,赤血球内部の粘度と血漿の粘度の比で表される.内外粘度比が低い場合,赤血球は,主に流れに配向するTank-Treading運動を行う.そして,内外粘度比の増加に伴い赤血球は自らが回転するTumbling運動に遷移する.Nait-Ohuraらは,こうした赤血球の変形挙動によって血液の固有粘度が変化することを明らかにした.また,NakasueとFukuiの研究では,赤血球の還元面積(reduced area)が,赤血球の運動の遷移に影響することを確認した.これらの研究で血漿はニュートン流体と仮定されており,血漿の非ニュートン性を考慮して行われた研究は少ない.血漿タンパク質であるフィブリノーゲンの増加によって血漿は非ニュートン性を示すことが報告されており, 血漿の非ニュートン性を加味した,赤血球の運動を調査することが必要である.そこで,本研究では,非ニュートン流体の数理モデルを用いて血漿の非ニュートン性を表現し,2次元せん断流中の赤血球の変形挙動の変化を調査した. |
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研究業績等 | |
【卒業論文】 “べき乗則モデルによる非ニュートン流体のモデル化に関する基礎研究”,京都工芸繊維大学,2025年2月.
【国内会議発表】
【受賞】
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