推進効率の優れた運動機構として魚の遊泳が注目されている．魚の遊泳は胴体の運動のみでなく，進化の過程で発達した鰭などの器官で同時に運動を行っており，複雑な遊泳となっている．魚の数多く存在する器官の中でも，胸鰭は前進後退や方向転換など，魚の遊泳において特に重要な役割を持つ．本研究では胸鰭が生み出す流れと胴体の運動の流体力学的相互作用を調査するために，体軸に対して非対称の運動を行う胸鰭に着目し，小型遊泳物体の胸鰭が胴体の推進性能に与える影響を数値解析によって検討した．本研究では振幅比，周波数比，及び位相を変化させた．その結果，3次元解析では周波数比の上昇に伴い推進性能は向上，振幅比の増加に伴い推進性能は低下した．位相差は周波数比が増加するにつれて影響が小さくなることが確認された．また，非対称運動では位相差の変化によって低い周波数比の場合においても高い推進性能を示すことが確認された．

　【卒業論文】

　“水棲生物の胸鰭が遊泳性能に与える影響に関する数値解析”，京都工芸繊維大学，2022年2月．

　【修士論文】

　“胸鰭と胴体の流体力学的相互作用が水棲生物の推進性能に与える影響の数値解析”，京都工芸繊維大学，2024年2月．

　【学術論文】

1. Kotaro Morifusa and Tomohiro Fukui, "Three-dimensional Numerical Study of Hydrodynamic Interactions between Pectoral Fins and the Body of Aquatic Organisms", Biomimetics, vol. 9, no. 3, 156, pp. 1-22, 2024.

　【国際会議発表】

1. Kotaro Morifusa and Tomohiro Fukui, "Numerical Simulation of Hydrodynamic Interactions between Fish Body and Pectoral Fins", 20th International Conference on Flow Dynamics (ICFD 2023), Sendai, Japan, 6 - 8 November, 2023, Conference proceedings, pp. 897-900.