自動車のエンジンの性能はシリンダ内の流れに大きく影響を受ける．吸気工程で形成される安定した旋回流は，圧縮工程上死点付近で崩壊し，乱れをもたらすことで熱効率の向上に寄与する．そこで，本研究では圧縮性オイラー方程式と仮想流束法を用い，吸気ポート形状に着目したピストンシリンダモデルの解析を行い，充填効率，圧力変動，タンブル比を調べることにより，シリンダ内に形成される旋回流の評価を行った．はじめに，ピストンシリンダモデルが4ストロークエンジンの排気，吸気，圧縮，膨張が表現できていることを確認した．次に，吸気管の径を変えて解析を行い，シリンダ内の旋回流の傾向を調査した．その結果，吸気管内を流れる流体の速度と吸気バルブの位置が旋回流の形成に影響を与えており，径を大きくすることで圧縮工程後半まで減衰しない安定した旋回流を形成することが確認できた．