本研究では，左心室を模擬した二次元容積型ポンプの拍動を再現し，左心室内および大動脈内における血流解析を行った．支配方程式には格子ボルツマン法を用い，また任意形状物体の再現には仮想流束法を用いた．まず，二次元平行平板間流れ及び二次元固定円柱まわり流れの定常解析および非定常解析を行い，計算プログラムの信頼性および仮想流束法の妥当性を確認した．次に，二次元移動円柱まわり定常流れの解析を行い，移動物体に対する仮想流束法の信頼性も確認した．最後に，周期的に拡張・収縮を繰り返す二次元容積型ポンプ内流れの非定常解析を行い，左心室の拡張に伴って左心室内に上下対称な二つの渦が形成され，その渦が収縮期において大動脈内を流下していく様子を確認した．さらに，左心室内に発生した渦が大動脈内の血行力学的因子の時間的・空間的分布にどの様な影響を及ぼすのかについて考察し，体積変化率の異なるモデルとの比較も行った．

　【卒業論文】

　“左心室の拍動により生じる渦が大動脈内流れに及ぼす影響”，京都工芸繊維大学，2014年2月．

　【国内会議発表】

1. 戸矢崎清志，福井智宏，森西晃嗣，“左心室を模擬した容積型ポンプが大動脈内流れに及ぼす影響”，日本機械学会 関西学生会 平成25年度学生員卒業研究発表講演会，p. 7-21，大阪，2014年3月．